ポピュラー音楽しか知らないのに
音楽の「音」について書いてみたりして
絶対音感
音律
名器の音
ソドレミ
分からない
関西電気保安協会
音律

音律とは
音律というのは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」のことであるのだけれど、 普段「ド」と「レ」の間とか「レ」と「ミ」の間の幅を気にしたことがあるだろうか。 長い歴史のなかで、この音と音の間隔が、喧々諤々議論されて、色んな幅を持つことになった。


平均律
平均律(へいきんりつ)とは、1オクターブなどの音程を均等な周波数比で分割した音律である。一般には十二平均律のことを指す。
当たり前でしょう。半音づつ12個区切りで1オクターブ。ちゃんと12等分されてなきゃ音痴のドレミだろうが。
そうです。現在の音楽は、ちゃんと12等分されています。 そして、私たちが聴いている音楽は、ほとんど(すべてに近い)は平均律で出来上がっている。でもこれは、音楽として大切なところを妥協した音律なんだね。

ギターなんかを引く人は分かりやすいでしょうが、1オクターブは12分割されている。つまり12フレットめは1オクターブだ。 平均律といってもフレットの幅はハイポジションになるほど狭くなっている。 約94.3874%づつ弦を短くしていくと、半音づつ高くなる。これを12回繰り返すと弦の長さは半分になる。 半分にすると2倍の周波数になるので1オクターブ高い音になるというわけだ。

下の表は、平均律を数値として一覧にしたもの。
弦の長さを「1」として、C(ド)の音が出る場合、94.387432%の長さにするとC#(ド#)の音が出る。 94.387432%の長さを、さらに94.387432%の長さにするとD(レ)の音が出る。そしてさらに..... ...これを繰り返している。
No. 音の名前 弦の長さ 比率 摘要
0C 1.0000-基本の長さを「1」とする
1C#(D♭) 0.94380.94387432  
2D0.89080.94387432  
3D#(E♭) 0.84080.94387432  
4E0.79370.94387432  
5Fファ0.74910.94387432  
6F#(G♭) 0.70710.94387432  
7G0.66740.943874322/3の長さに近い
8G#(A♭) 0.62990.94387432  
9A0.59460.94387432  
10A#(B♭) 0.56120.94387432  
11B0.52970.94387432  
12C0.50000.94387432 1/2の長さ(1オクターブ)
13C#(D♭) 0.47190.94387432  
14D0.44540.94387432  
15D#(E♭) 0.42040.94387432  
16E0.39680.94387432  
17Fファ0.37450.94387432  
18F#(G♭) 0.35350.94387432  
19G0.33370.94387432  
20G#(A♭) 0.31490.94387432  
21A0.29730.94387432  
22A#(B♭) 0.28060.94387432  
23B0.26480.94387432  
24C 0.25000.94387432 1/4の長さ(2オクターブ)
25C#(D♭) 0.23590.94387432 
26D0.22270.94387432  
27もっと続くけれども ここから先は省略

1オクターブ上は、ちょうど半分の長さになっているのがわかるでしょうか。

平均律は、どこをとっても同じ比率で割り当てているので、ハ長調をヘ長調に変えてもイ長調に変えても問題ない。
自由に転調しても半音半音の比は変化しない。
どんな和音(コード)を鳴らしても適度に心地良く響く。

私たちが日常聴いている音楽は、クラシック音楽の一部を除いて、すべて平均律の音律で出来上がっていると思っていい。

日常聴く音楽の音構成は、こうなっているので何も問題はないのだけれど 「平均律は大切なところを妥協した音律」であるということについて少々触れることにしましょう。
例えば「ド」と「ソ」。この間隔を「5度」と呼ぶが、この間隔の二つの音は一緒に鳴ると心地よい響きがする。 なぜ心地良いかというと「ド」と「ソ」の周波数は2対3というキッチリとした比率になっているから。

周波数が2対3は理想のハーモニー


2対3の二つの周波数は同調して溶けあう。波の山谷は、いつも同じところに帰ってくる。

つまり「ソ」は「ド」の1.5倍の周波数だときれいな和音(ハーモニー)になる。 1.5倍は理想的なカップルなのに、平均律では1.5倍になっていない。 1.5倍の周波数で鳴るには弦を2/3(0.6666・・・)の長さにすればいいのだけれど、平均律では 0.6674・・・ になる。若干食い違う。

平均律では2対3に近いけど微妙にずれてる


2対3に近いが 二つの周波数は微妙にずれているので、波の山谷はどんどんずれていく(ちょっと大げさに描いているけど)。
これが原因で「うなり」という現象が起こってしまう。

平均律の妥協とは、このことをいう。
そしたら「0.6674・・・ のところだけを 0 .6666・・・ にすればいいじゃん」という考えもなるほどだけど、そうはいかない。 キーを変えると(転調すると)そこだけ狂ってくる。部分的に変えてしまうと、総てのキーで「5度」を気持ちのいい響きにするのは無理なんだ。

でも、心配いらない。
私たちの耳はこんな些細な音の違いは判らない。「0.6674・・・」と「0.6666・・・」の違いで和音(コード)がきれいに鳴らないなんてことはない。 耳も妥協している。 クラシックをやっている音楽家の一部の方は、この微妙な違いにこだわって音楽をやっているけれども、一般市民は気にしない。 そんな敏感な音感は持ちあわせていないことに感謝して音楽を楽しめばいい。

平均律は12等分だけではない
ここでは、1オクターブを12等分した十二平均律について書いている。 12等分はハーモニーを音楽の重要な要素として取り入れている西洋音楽からきたもので、私たち日本人も子供のころからこれで育ってきた。
だけど、世界にはオクターブを16等分とか17等分にした音律も存在するんだ。 タイの古典音楽では7等分した7等分音律 があり、現在でも使われている。


純正律
音程が調和するようにように音階を決定していく音律で、周波数がきっちりとした「整数 対 整数」の比率で構成するようにしてある。 つまり、「ド」に対して「ミ」は4/5の周波数で「ソ」は2/3の周波数にしてある。1オクターブは2倍の周波数であることはかわりない。 和音(コード)がきれいに鳴り響くというのが特徴だ。
だから、クラシック音楽ではハーモニーを大切する楽曲では純正律で演奏したりする。 ただし、純正律は特定のキー(調子)に対してはきれいに響くが、他のキーに切り替えると狂ってしまう。 狂ってしまうとはいうものの、私たち一般人には、その狂いなんか気にはならないだろう。 もっというならば、平均律と純正律の区別もつかないまま音楽を聴いているのが普通だ。


ピタゴラス音律
ギリシャの学者ピタゴラスが研究した音律ということになっている。 周波数が2対3(5度)の二つの音は気持よく響くということから、2対3の周波数比の関係にある音程を基に作られた音律。
モノコード


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